その全てを手作業で行う牛首紬の工程。それらの中でも、製糸、精錬、染色においては使用される水の質が、製織では湿度が重要な要素となってきます。
幸運なことに、白峰村は白山の伏流水を源とする手取水系による極上の水に恵まれており、生糸の質を高めるばかりか、美しい発色を生み出しています。また、製織のために最適な湿度の高さも一年を通 じて保たれています。 そして何よりも、物づくりに対する真摯な心を持った土地の人々による作業も、牛首紬の優れた品質の大きな理由となっているのです。
角印・牛首紬は、頑なに手織機の伝統を守っています。 両足交互の足踏みによる経糸の開口、右手に持つ紐の操作で左右に飛ぶ緯糸、左手に持つ筬での打込み。この三つのリズムには、一瞬の狂いも許されません。 白山の伏流水。そして、天然の植物染料。自然の恵みをふんだんに受けた絹糸が辿り着いた最後の場所には、人間の手足によるリズムが刻まれていたのでした。 「選繭」から「仕上検査」まで、時には約三ヶ月の期間が必要とされます。そうして自然と、人と、歴史の力が、美しい一反の織物となって結晶するのです。
●1反に使用する繭 ------約4,000個 ●1反に使用する糸の長さ ------約3,600km ●1反の織物の完成まで ------約2ヶ月〜3ヶ月